腎不全は腎臓病を代表する重篤な疾患
腎臓病は、他の主要な臓器の疾患にくらべて、その種類が少ない印象がありますが、実際は、そんなことはありません。腎臓がんは最も怖い疾患ですが、腎臓病というと、腎不全を真っ先にイメージする人は多いと思います。
ただ、腎不全の場合、いろいろな腎臓病が進行した結果、最終的に至る症状であるとも考えられます。特に、慢性腎臓病における末期的な腎不全ともなると、治療方法もなくなり、残すは人工透析か腎移植しかないという危機的状況です。
一般に腎不全は、腎機能が極端に低下する症状です。もちろん腎不全自体も腎臓病の一種であることに違いはありませんが、何の根拠もなくいきなり腎不全になることは、基本的には考えられません。
とすると、腎不全を発症するような何らかの原因となる別の腎臓病についても知っておかなければならないことになります。腎不全以外の腎臓病についても理解を深めたいところです。
腎不全以外の腎臓病にはどんな病気がある?
腎不全以外の腎臓病でまず挙げなければならないのが、糸球体腎炎です。糸球体腎炎には、急性と慢性とがあります。糸球体は、尿をつくる器官ですが、この部分に異常をきたすことによって腎機能が低下し、将来的に腎不全を発症するおそれがある疾患です。
肝臓の場合、脂肪肝からはじまって、肝臓の線維化が進むことによってやがて肝炎を発症しますが、腎臓についても、そのメカニズムは異なるものの、糸球体腎炎のことを一般に腎炎と呼びます。
腎炎には、糸球体に異常が起こることで発症する原発性腎炎と、膠原病をはじめとする別の疾患が原因となる続発性腎炎があります。続発性腎炎の代表的な腎炎が、糖尿病性腎症、腎硬化症、痛風腎などです。
他にも、急速進行性糸球体腎炎という腎臓病があります。急速進行性という病名からもわかるとおり、これは腎機能低下のスピードが極めて速いタイプの腎臓病で、それだけ腎不全へと移行するリスクが高い腎臓病であるといえます。
腎臓病である以上、どんな種類の病気であっても警戒が必要です。定期的に健康診断(クレアチニン検査、血圧測定)や尿検査(蛋白尿、血尿の有無)を実施し、万一異常が見られたら、腎臓の専門医に相談し、腎疾患が認められたら速やかに治療に入ることで、腎不全を予防することができます。
悪化すると治療が難しくなる臓器だけに、とにかく早目の対処が必要であると考えるべきでしょう。