すい臓の疾患である糖尿病が腎臓に波及する!
糖尿病というと、すい臓のランゲルハンス島で血糖値を抑制するためのインスリンを分泌しなくなる病気というイメージがあります。もちろんそれ自体は正しいのですが、糖尿病を上手に治療できないでいると、やがて腎臓病にまで事態が悪化する可能性が高まるのです。
確かに糖尿病は、全身への影響が懸念される合併症が最も恐れられる病気ですが、中でも糖尿病の治療が十分でなくて腎臓病に至ってしまうことが多いという点には十分注意が必要になります。
糖尿病が原因で起こる代表的な腎疾患が、糖尿病性腎症です。糖尿病性腎症が明確に症状として現れるまでには、血管障害や神経障害、網膜障害など、すでにいろいろな問題が全身に現れている可能性が高いですが、糖尿病性腎症の場合、症状を自覚する期間が短く、いきなり症状が悪化する怖い腎臓病なので、十分な注意と糖尿病の十分な治療が必要になります。
腎臓病から腎不全に至り、さらに腎不全が進行することによって、やがて人工透析が必要になってしまう患者さんも少なくありませんが、糖尿病がその原因になる可能性が非常に高いため、腎不全や人工透析といった重篤な状況を回避する意味でも、万一糖尿病を発症したのであれば、その治療がとても重要になります。
糖尿病性腎症はどんな症状が現れる?
上でもすでにお話したとおり、糖尿病性腎症は自覚症状には非常に乏しいため、急激な腎不全などが起こることがあります。ただし、蛋白尿が高レベルで検出されるなどの兆候は比較的顕著で、自覚症状を察知することは難しいかもしれませんが、血液検査や尿検査をすることによって、何もヒントが得られないという事態は避けることができます。
そういった意味では、糖尿病にかかった時点で、糖尿病性腎症は常々注意しておく必要があるといえます。医療機関でしっかりと糖尿病治療を受けていて、その治療の効果がちゃんと現れているということであれば、そこまで心配する必要はないですが、糖尿病自体がなかなかコントロールしづらい疾患ですので、糖尿病性腎症への移行のリスクも頭の片隅に入れておくことが大切です。
できることなら糖尿病にかかりたくないというのが本当のところですが、かかってしまったものはもう仕方ありませんので、とにかく糖尿病の治療をしっかりと実施していただき、腎臓病、さらには腎不全、人工透析への移行を食い止めることが大切です。